遺言書の作成
遺産の分割は遺産分割協議によって決めるのが理想的ですが、相続人全員が納得するように分けるのは難しいものです。
また、相続人ではない人に財産を渡したいといったケースや、特定の相続人には財産を渡したくないといったような、法定相続では対応できないケースなどもあることでしょう。
そうした場合に将来のトラブルを未然に防ぐことができるのが遺言書の活用です。
尚、「うちは財産がないから遺言なんて関係ない」という方からの遺産相続に関するトラブルが増加していますので、財産額に関係なく準備されることをお勧めします。
そこで遺言書の種類や書き方、遺言書を残すメリットなどを理解しておきましょう。
遺言書の種類
遺言書と聞いて、スグに思いつくのが封筒に入った自筆の遺言だと思います。
しかし、遺言書とは作り方によって言い方が異なってきます。
また、それによって取り扱い方が違ってきますので、注意が必要です。
自筆証書遺言
自筆証書遺言とは一番手軽に作成できる遺言書です。遺言の全文、日付、指名を自署し、これに押印することによって成立します。
遺言書の内容は相続人の損得に関係してきますので、遺言書が発見された場合、偽造される危険性があります。保管場所には十分気をつけましょう。
また一方で、自身で管理することで保管場所がわからなくなり、紛失するケースもありますので、注意しましょう。よくある保管場所としては銀行の貸金庫があります。
死後に相続人による財産調査のため直ちに見つかる場所かつ、生前は本人しか開閉することができないため、保管場所に適しています。
公正証書遺言
公正証書遺言とは、公証役場で公証人に作成してもらう遺言のことです
確実な遺言を行いたい人には公正証書遺言がオススメです。
公証人が要件を確認しながら作成するため、自筆証書遺言のように作成時に不備が発生したり、無効になる危険性はほとんどありません。
公正証書遺言は、原本・正本・謄本の3部が作成されます。正本・謄本は遺言者に渡され原本は公証役場で保管されます。公正証書遺言の正本と謄本は遺言者本人に手渡されますので、謄本は遺言者が貸金庫など見つかりにくい場所に保管し、正本は遺言執行を依頼する方などに預けておくのが1つの確実な方法です。
秘密証書遺言
秘密証書遺言は遺言書を相続人等に知らせることなく秘密で作成することができます。
秘密証書遺言の最大の特徴は、遺言の内容を遺言者以外に知られることなく作成できる点です。
自筆証書遺言も同様ですが、遺言の内容は秘密にする必要があっても、存在自体を秘密にする必要がなければ、遺言の存在を公証してもらう秘密証書遺言方式の方が、偽造などの危険性が低くなります。
当事務所では最も実現性の高い「公正証書遺言」をオススメしております。
遺言に関するご相談にも対応しておりますので、お気軽にご相談ください。
遺言書の書き方
遺言は種類によって、法律で書き方が決められています。せっかく書いた遺言書に不備があっては何の意味もありません。
のちのちのトラブルを避けるために専門家にアドバイスまたはチェックを依頼し、遺言書を作成されることをお薦めします。
自筆証書遺言の書き方ポイント
(1) 全文を自筆で書くこと。
(2) 縦書き、横書きは自由で、用紙の制限はありません。
また、筆記具もボールペン、万年筆など何を使用しても構いません。
(3) 日付、氏名も自筆で記入すること。
(4) 捺印をすること。
⇒認印や拇印でも構いませんが、実印が好ましいです。
(5) 加除訂正する時は、訂正個所を明確にし、その個所に捺印の上署名すること。
公正証書遺言の書き方
(1) 証人2人以上の立会いのもとで、公証人役場へ出向くこと。
(2) 遺言者が遺言の内容を公証人に口述すること。
(聴覚・言語機能障害者は、手話通訳による申述、または筆談により口述に代えることができます。)
(3) 公証人がその口述を筆記し、これを遺言者及び証人に読み聞かせ、または閲覧させること。
(4) 遺言者および証人が筆記の正確なことを承認したうえで各自が署名捺印すること。
(5) 公証人がその証書を法律に定める手続きに従って作成されたものである旨を付記して、これに署名捺印すること。
遺言書作成のメリット
遺言とは、個人の意思を整理し、相続人に言い残すことです。
「うちは、遺言書なんて必要ない」と考えておられる方もいらっしゃるかと思います。
現在は、家族の仲が円満なため大丈夫と思われるかもしれませんが、金銭が絡んでくると他者が介在してくるためどのような状態になるかわかりません。家族の関係がこじれないようにするためにも遺言書は、とても重要な役割を果たします。
遺言書を残すには様々なメリットがあります。
相続人以外にも財産を渡すことができる
遺言によって実現できることは意外にたくさんあります。
たとえば、「この家は次男に相続したい」「この現金は長女に渡したい」というように、相続させる財産を誰に相続させるかを指定することができます。
それは、同様に親族以外にも財産を残すことができます。
事実婚の状態にある配偶者、介護などで世話になっている長男のお嫁さんなどは相続人にあたりません。
つまりそのような人たちには相続遺産は分割されないということです。
しかし、そのような方たちにも財産の一部を残してあげたいと考えるのであれば、遺言の作成によって実現することが可能です。
遺言がなければ、相続人全員が集まり、法定相続分通りにどの財産を誰がもらうか話し合いで決めることになります。相続人の中には「寄与分」を求めてくる人もいるでしょうし、具体的な分割の方法がまとまらないこともよくあります。つまり、仲の良かった家族が争族になることもありうるのです。
遺言を残すことは遺産分割に関わるトラブルを回避するうえでも重要な役割を果たします。
トラブル回避ができる
わずかな財産であっても、いざ相続となると「少しでも多くもらいたい」という心理が働きトラブルが生じるケースが多くみられます。相続するだけで手に入る財産があれば、自然と争いに発展する可能性は高くなってしまうものです。
さらに、こういったトラブルには第三者の思惑が関わってくることもあります。たとえば、相続人同士で話が済んでいても、相続人の妻が怒鳴り込んできて、話がまとまらないケースもあります。
遺言を書くことで、自分の意思を文書で整理し伝え、相続人同士の無用なトラブルを未然に防ぐことができます。「遺言書なんて先の話」と思っている方も、検討してみる価値は十分にあるはずです。
遺言書を作成したほうが良いケース
遺言を作成することで様々なトラブルが回避できます。ここでは、遺言を残した方が良いケースを紹介します。
下記のどれか1つでも当てはまる場合は、遺言書の作成を検討してください
1、兄弟姉妹が不仲
2、子供がいない
3、内縁の配偶者やその人との間に子供がいる
4、結婚した相手に連れ子がいる
5、未成年の子供がいる
6、相続人が多い
7、相続させたくない相続人がいる
8、相続人がいない
9、自営業者や農家である
10、行方不明の相続人がいる
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費用
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